SEOコンテンツでぶつかる「企画づくり」と「ネタ切れ」の課題。記事制作体制の「再設計」のコツと見せ方とは
オウンドメディアのSEOコンテンツからマスメディアの取材記事。LPのキャッチコピーやボディコピー、コーポレートサイトの代表者インタビューまでWEBコンテンツの種類は実に豊富で、その狙いや作り方も千差万別です。その一方、コンテンツをゼロから作り上げる工程は、どの媒体であっても共通する流れがあります。
もっとグッドではさまざまな媒体における制作の一連の流れを「WEBコンテンツ制作の9工程」と独自に細分化し、お客さまが抱えるご要望や課題に合わせて、オーダーメイドでリソースや編集機能を提供することで最適なコンテンツ制作を支援しています。本記事では、その最初の工程である「設計」について掘り下げて解説します。
WEBコンテンツの運用工程1:WEBコンテンツの「設計」とは
WEB業界におけるコンテンツ設計とは、一般的にメディアやコーポレートサイト、LP(ランディングページ)などの「箱」に入れる「中身」のことを指します。そのなかでも特にオウンドメディアにおけるSEOコンテンツの設計を表すケースが多いです。SEOコンテンツの設計では、メディアの構造(内部SEO)も踏まえてターゲット・ゴールを決める「①キーワード選定」、検索意図や競合調査の結果を反映した「②構成作成」いう土台を作成した後、個々のコンテンツを作成する流れが基本です。SEOコンテンツ設計は基本的に更新し続けるのが大前提のため、外注先を含めた制作体制、予算、本数などのおおまかな枠組みも重要なポイントになるでしょう。
更新頻度が少ないLP、コーポレートサイト、採用サイトなどについては、ペルソナ設定、デザイン、UX・UIなどに則ったコンテンツの内容やテキスト量、パラグラフの数などを設定するのが一般的です。基本的にはいわゆるWEB制作領域となるケースが多い印象です。
SEOコンテンツの設計でよくある課題
SEOコンテンツの設計のコツ、ノウハウは多くのWEBサイトで公開されています。テクニックなどはグーグル検索で有益な情報を山ほど入手できるでしょう。そこでもっとグッドのコラムでは、ノウハウではなく意外と多くのオウンドメディアが直面する「テーマの壁」について紹介します。
基本的にSEOのコンテンツ設計における検索意図は、情報を探している人向けの「情報型」と、行動したい人をターゲットにした「取引型」の2種類に分類できます。以下でそれぞれの例を挙げてみましょう。
情報型 | 取引型 | ||
検索ワード | 検索意図 | 検索ワード | 検索意図 |
iPhone 修理 | iPhoneの修理方法を知りたい | iPhone 中古 購入 | 中古のiPhoneを購入したい(場所や購入方法を知りたい) |
iPhone 新作 | iPhoneの新作情報を知りたい | ジム 入会 | ジムに入会したい |
日本百名山 一覧 | 日本百名山に該当する山について知りたい | 百名山 制覇 日数 | すべての日本百名山に登りたい |
情報型と取引型のキーワードは、いわゆる顕在ニーズが高いとされており、WEBメディアでの「ゴール」であるCTAなどのアクションに誘導しやすいという利点があります。そのため、特にオウンドメディアの開設当初は、情報型・取引型のキーワードに則ったタイトル・内容の記事を集中して作成することは、メディア運用における「定石」と考えられます。
同じ切り口・テーマだといずれ企画案が枯渇する
情報型・取引型のキーワードを中心に据えたメディア全体のコンテンツ設計は、SEOコンサルティング会社だけでなく、事業会社の担当者においても浸透しています。だからこそ、大きな注意点についても理解してかなければなりません。それは同業他社・隣接分野の企業が運用するオウンドメディアや広告などの「競合が多い」ということです。
当然、競合サイトと「同じキーワード」を狙う際は、タイトル、見出し、小見出し、本文レベルで著しく類似したコンテンツをつくるのはNGです。さらに後発メディアは既存メディアと比べると、ドメインエイジやコンテンツの本数といった上位表示されるための要素で遅れを取っているケースが多いです。もちろん不確定要素は多分にありますが、基本的にメインキーワードを獲得するには、より多くの切り口とテーマで粘り強く記事を作成し続けなければならない可能性は無視できません。
例えば、「iPhone 修理」であれば「iPhone 修理 方法」、「iPhone 修理 おすすめ」、「iPhone 修理 買い替え」といったクエリをメインテーマ(タイトル)に据えて、数千字の記事を毎月複数本作成しなければなりません。前述した「iPhone 修理 方法」などは、獲得したい「iPhone 修理」がタイトルだった場合、「見出し」で構成に盛り込まれることが多いです。当然、求められる情報量も見出しレベルなので作りやすいでしょう。ただ、タイトルに据えるとなると、さらに細かい粒度の情報を収集して企画構成を作らなくてはなりません。「iPhone 修理 方法」はまだ優しいテーマかもしれませんが、数年間作り続けるとなると、情報収集にかかる手間と時間の増加などが顕在化します。
さらに困ったことに、大きなテーマであればざっくりとした企画構成であっても、ライターも情報を拾いやすい一方、テーマが細かくなるほど事前に共有すべき企画構成の情報量も増やさなければ、同じライターに依頼しても原稿の品質が下がる可能性があります。つまり、メディア運営担当者の負担増につながるケースも想定しなければなりません。このようなSEOコンテンツの「ネタ不足」は、オウンドメディアを運営し続ける限り、いずれは直面する可能性が高いリスクです。その際に必要なのが「別の切り口」や「記事の体裁」といったコンテンツの基礎部分の見直しです。
同じキーワードの記事を「体験談」や「インタビュー」で差別化する
ターゲットキーワードと関連キーワードをひたすら掘り下げて記事を作り続けるのは、まさにSEOコンテンツ制作の定石です。ただ、もっとグッドが提案しているのがターゲットキーワードの情報を「別の見せ方」で記事としてまとめる方法です。特に実践しやすい3つの手法を紹介します。
WEBコンテンツの見せ方1:インタビュー
その代表的な手法が「インタビュー」でしょう。メインのターゲットキーワードは自社のサービスや商品にとっても近しいケースが多いです。例えば「iPhone 修理」がメインのターゲットキーワードの場合、スマートフォンの修理サービスを提供している企業が想像できます。その場合、お得意様へのインタビューのほかスタッフが修理のポイントを教える「社内インタビュー」のコンテンツなど、見せ方はさまざま。上位表示されているメディアと基本的な情報が同じであっても、類似率や一致率は著しく下がりやすくなるでしょう。さらに「iPhone 修理」の現場間などの「ディテール」も濃くなるため、インタビューするだけで自然と独自性が高まるのも魅力です。
インタビューと聞くと、少しハードルを高く感じられる人もいるかもしれません。ただ、インタビュー対象やヒアリングシートをある程度、量産できるように「設定」すれば、内製化も十分可能です。
WEBコンテンツの見せ方2:体験談風
いわゆる「コタツ記事」でWEBコンテンツの見せ方を変えた場合、体験談風のテイストでコンテンツを増やすことも検討してみてはいかがでしょうか。「Aさん」もしくは「佐藤さん(仮名)」といった架空の人物を立てて、情報をまとめる見せ方であり、インタビューと同様に通常のSEOコンテンツとは一線を画したテイストで記事を作成できます。例えば「iPhone 修理」のキーワードの場合、Aさんが修理を検討したきっかけから修理して受け取るまでの情報をまとめる流れとなると考えられます。
検討するきっかけ、修理方法が複数あるのであれば、Bさん、Cさん、Dさん……と立てる人とポイントを変えてある程度、同じテーマで作り続けることができます。「情報型」と「取引型」のターゲットを強く意識しなければ、視点がずれる恐れがある一方、ある意味ターゲットそのものをAさんに立てることができれば訴求力を強められることも期待できます。
体験談風の記事を作成するためには少しコツが必要で、オウンドメディアでは取り入れている例はあまり多くはありません。そのため、構成を模倣して学ぶのであればマスメディアの記事を参照することをおすすめします。もっとグッドでは、マスメディア(WEBメディア)から依頼を受けて制作しています。
WEBコンテンツの見せ方3:会話風
体験談よりもイメージしやすく、オウンドメディアでも事例が豊富なのが「会話風」のコンテンツです。キャラクターを2~3人設定し、会話形式で情報をまとめる手法です。先生役を1人、生徒役を1人もしくは2人立てるのが一般的で、生徒役が言動して示す「質問(question)」に対し、先生が「反応(answer)」を返すQ&A形式の会話の要所に地の文を差し込みながら進行します。例えば「iPhone 修理」であれば、先生役は修理担当者で生徒役は来店客もしくは若手スタッフに設定できるでしょう。
会話風のコンテンツを連載するのであれば、キャラクター設定は簡単なプロフィールはもちろん、イメージ画像も用意するのが一般的です。そして可能であれば「」の文頭に話しているキャラクター画像を都度、入れることでより分かりやすくなります。
会話風のコンテンツは主に初心者向けのノウハウ本などでも採用されるケースがあるなど、まとめた情報を分かりやすく伝えやすい方法です。ただし、文章が冗長になりやすく、適度に地の文や画像、表などを使って文章にメリハリをつける必要があり、構成・ライティングともに一般的なSEOコンテンツとは異なるテクニックが求められます。
もっとグッドでは会話風のコンテンツの制作実績が豊富で、インタビュー対象とキャラクターが会話する「インタビュー形式×会話風」の記事も企画から取材、原稿制作まで手掛けています。
WEBメディアの継続的な運用を見据えた改善を
オウンドメディアやマスメディアはもちろん、コーポレートサイトやLPであっても継続的にコンテンツの投入、更新は欠かせません。その際、コンテンツの中身はもちろん制作体制そのものを都度、最適化する必要もあるでしょう。媒体の種類やメディアが置かれている状況によって異なりますが、多くの場合、新たな制作リソースや編集機能が必要になるケースが多いです。その際はぜひ、多様な引き出しを有しているもっとグッドにお気軽にお問い合わせください。