SEOコンテンツの成否を分けるのが上流工程である「キーワード選び」ということは、コンテンツ制作を担っている人であれば誰もが知っているのではないでしょうか。ただ、トレンドや時流を意識したキーワードを選んでいる、もしくは効率的な選び方を知っている人はあまり多くないと感じています。

もちろん、各社の編集方針やSEO施策の段階によってトレンドをどれだけ意識するかは異なります。一方、トレンドを先取りしたSEOコンテンツを制作することで、長期的に大きなメリットを得られる可能性があることは知っておいて損はないでしょう。

そこで今回は、年間1500本、累計40業種超のSEOに関する企画・原稿制作を行ってきた当社の経験・ナレッジからひも解く「トレンド×SEOコンテンツ」で得られたメリットも紹介します。日々の企画づくりを円滑に進めるためのヒントにもなるので、ぜひ確認してください。

トレンドを先取りしたSEOコンテンツ(記事)のメリット

トレンドとは一般的に「流行や動向」を意味します。基本的にファッションや食、音楽さらにインターネット上でバズっているコンテンツのイメージが強く、だからこそ「雑誌や新聞、SNSでもないのに追いかける意味はあるのか?」と考える方は少なくないかと思います。実際、流行とそれに紐づく「トレンドワード」は消費されるのも非常に早く、せっかくコンテンツを公開しても数カ月後にはGoogle検索の月間ボリュームが下がってしまうリスクは十分に考えられます。

ただ、それを持って「SEOコンテンツとトレンドは相性が悪い」と判断するのは勿体ないと当社では考えています。当社ではSEOコンテンツにおいてトレンドは「追いかける」のではなく、「先取りする」ものとして位置づけてキーワード選びや企画・構成のご提案を長らく行っています。その結果、当社が提案してきたトレンドを意識したSEOコンテンツによって以下のメリットを実際にお客様にご提供できた経験が少なくないからです。

■トレンドを意識したSEOコンテンツのメリット

①ドメインパワーの強い競合媒体よりも上位表示を獲得
②公開後の数カ月で検索ボリュームが急増。流入数も大幅に増加し「パワーページ」になり、ドメインパワーの向上に貢献
③ターゲットの課題の洗い出しや、時流・顧客に寄り添ったプロダクトのPRにつながる
④社内における自社メディアへの関心度アップ
⑤ネタだし、キーワード選定の工程(フロー)の仕組化の構築

上記のメリットは、メディアの規模、運営会社の業種業態を問わず、多くのSEOコンテンツ制作の現場にとって魅力的に映るのではないでしょうか。トレンドを先取りすることで数々の大きなメリットが得られる理由を簡単にまとめてみましょう。最後に当社が手掛けた実例も紹介します。

ドメインパワーの強い競合媒体よりも上位表示されやすい理由

競合他社が制作していないキーワードは獲得難易度が低く、「先行者利益」が得られるため上位表示されやすくなります。

特に後発の自社コラム・メディアであるほど、そのメリットは大きくなるでしょう。

パワーページになりやすい理由

パワーページとは「特に流入数が多い記事ページ」を指します。上位をキープすべき施策が必要になるほか、親記事化やサブワードを狙った新規記事の企画のヒントになるなど、重要なコンテンツになります。ちなみにパワーページに定義はなく、コンテンツ制作界隈でしばしばやりとりされる隠語のようなものなので、使用する際はしっかりと上記の意味を共有しておくことをおすすめします。

トレンドを先取りして記事をアップしておけば、トレンドが注目され始めた際にマスコミやSNSなどで、タイトルや見出しに組み込まれているワードがインターネット上で盛んに検索されることは想像に難くないでしょう。その結果、先行者利益を得て上位表示されている記事に人が集まりやすくなるというわけです。トレンドワードが多少ズレていても、すでに記事を制作・公開しているという先行者利益を活かした加筆・修正といった展開が容易かつ迅速に行えるのも大きなメリットといえるでしょう。

CVR向上につながるコンテンツになりやすい

SEOコンテンツのゴールとして、お問い合わせや資料ダウンロードに設定するケースは珍しくありません。その際、重要なのがターゲットの課題や共感を得られるキーワードを選定し、それに則った内容でライティングして導線まで用意しなければなりません。ターゲットの課題の洗い出し方は様々ですが、その1つの視点としてトレンドを先取りすることは非常に有効的といえるでしょう。

例えば、あるトレンドによって顧客やその先のエンドユーザーが被る影響(リスクやチャンス)を整理すれば、ボリュームが少なくても「刺さる」キーワードの選定につながり、CVR向上も図れるでしょう。もし、そのトレンドとキーワードが後々大きな注目を集めるようになれば、さらにCV数が増加することも期待できます。

社内における自社メディアの関心度向上

ここまで説明して気付いている方もいるかと思いますが、トレンドを取り入れてコンテンツを制作するということは「世の中の動きを予測し、自分事(自社事)化する作業」と同義です。さて、ここでぜひ思い浮かべていただきたいのですが、上司、先輩、同僚、部下で上記に関する情報を整理し、言語や文章で見える化して発信している人はどれだけいるでしょうか。

当社では「1つのコンテンツに多くの意味、目的、狙いを持たせる」ことをテーマに様々な企画のご提案や原稿制作を行っております。社外はもちろん、社内への影響も例外ではありません。トレンドを先読みして、コンテンツをつくっておくことで社内のナレッジ・情報の共有も可能になるでしょう。「有用な情報がある」と身内に気付かせることは、最も身近なファンの獲得につながります。さらにメディアや担当者自身への評価も高まるかもしれません。

ネタだし・キーワード選定の仕組化につながる

SEOコンテンツの制作体制は多種多様ですが、メディアを運営する限りネタ出しやキーワード選定は行い続けなければなりません。キーワードツールやGA4と睨めっこするのも大切ですが、選定方法を確立して仕組化できれば業務効率化につながります。

トレンドを考慮したキーワード選定の場合、①大きなトレンドをピックアップし、②「自分事化」し、③関連キーワードを調べ、④タイトルや見出しなどの構成をつくるだけです。どのようなトレンドであっても基本的に上記の流れは変わらないため、システム化しやすいのが特徴です。

すべての企画をトレンドを先取りしたものにするのは現実的ではありませんが、10本中2本でも確立した方法で手順で作成できるのは、担当者の負担軽減につながるでしょう。

事例:「同一労働同一賃金」のトレンドを先取りしたSEOコンテンツの成功例

具体的な事例としては、当社がとある専門領域に特化した人材派遣会社のSEOコンテンツのキーワード選定、企画構成、原稿制作に携わっていた際、月間検索ボリュームが1万ほどのビッグキーワード「同一労働同一賃金」の1位を獲得しました。メディアは2020年8月に開設し、同一労働同一賃金のキーワードを獲得したのは同年11月。当時の検索ボリュームは現在よりも少なかったのですが、同一労働同一賃金が中小企業に適用された2021年4月に近づくほどアクセス数も増加。ちなみに、現在は同一労働同一賃金の単体キーワードでは上位表示されていないものの、「同一労働同一賃金×業界」のさらにターゲットを絞れる検索ワードでは1位を維持し続けています。その結果、以下の大きなメリットが得られたとお客様から直接、感謝いただきました。

■【実例】トレンドキーワードを獲得したことで「運営者」が得られた具体的なメリット

①開設半年で目標を大きく超える100万PVを達成する起爆剤となった
②「①」の内容をプレスリリースで発信するなど、メディア活用が迅速に多方面化された
③担当者の評価が高まり、他業務との兼任からメディア専門の担当に昇進
④予算・人員の増大

上記のメリットはSEOコンテンツやメディア運営に携わる人にとっては、「メディアを使ってやりたいことをできる環境の構築」、「社内の人たちのメディア運用に対する熱量の増加」、「メディア運営の担当者としての地位の確立」といった意味でも、非常に価値があるものだと実感しています。そして上記のメリットは、淡々とした作業でキーワードを選んで記事にするだけではなかなか得ることは困難です。だからこそ、当社ではBtoBなどのニッチな業界でもトレンドを先取りしてSEOコンテンツ化するご提案を必ず行っているのです。

トレンドを「自分事化」してSEO対策キーワードを選ぶのが重要

今回はトレンドをSEO対策キーワードに盛り込むべき理由とメリットを紹介してきました。ただ、SEOコンテンツの場合はマスメディアやSNSのように「これが話題!」と前面に押し出すだけでは、上位表示を実現するのは困難です。まずはトレンドを自社の業界・領域に「自分事化」して、より掘り下げて寄り添ったサブキーワードを選定し、ターゲットに対して説得力のある内容にしていく必要があります。もし、今回の内容で興味を持っていただいた人は、一度「同一労働同一賃金」の自分事化にチャレンジしてみてください。

次回はそのプロセスと2024年~2025年におすすめのトレンドを紹介します。また、もしSEOコンテンツに「トレンド性を加えたい」と思われている人は、ぜひお気軽にご相談ください。トレンドからキーワードを選定までしっかりとご提案させていただきます。

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