オウンドメディアをはじめとするWebメディア運営の成否の大きな分水嶺の1つが「制作体制の整備」であることは、多くの担当者や責任者の理解が得られるのではないでしょうか。
そのなかでもコンテンツ制作体制の最下流の工程である「原稿制作」の外注の活用方法は、避けては通れないポイントの1つです。
特に予算や月間制作本数に影響を及ぼすのが発注先であり、「ライターの直接契約」と「コンテンツ制作・記事制作会社」で迷う企業は少なくありません。

そこで今回は、コンテンツ制作会社であり、全ライターと直接契約・直接依頼を行っている弊社の観点からそれぞれのメリットとデメリットを紹介します。
これからメディア運営を始める企業はもちろん、制作体制の改善を検討している方もぜひご確認ください。

※関連ページ:株式会社もっとグッドについて

SEO・コンテンツ制作の外注先ごとのメリット・デメリット

前述したとおり、コンテンツ制作、記事制作における外注先は個人と企業・法人の2つに分けられます。それぞれのメリット・デメリットを以下でまとめたので確認してみましょう。

個人(企業・法人と対比) 企業・法人/td>
①記事単価 〇:企業・法人よりも安価 △:個人よりも高い
②リソースの安定 △:企業と比べるとリソースが少ない
△:個人の家庭環境や他社との案件などに左右されることがある
〇:「専属ライター」などを確保できれば、上記のリスクは低減する
〇:複数人のライターを管理しているのでリソースが多い
〇:個人の事情に左右されにくい
△:求められる専門性と編集体制によってはライターが少なくなるため、上記のメリットは小さくなる
③リソースの獲得 △:ライターのレベルなどによる新たなリソースの確保に手間と時間がかかる
〇:内部の編集体制が確立していればライターへの依存率が少なるため、選定の負担が軽減する
〇:担当者がライター探しや教育を代替するため、運営者の手間・時間が少ない
△:求められる専門性と編集体制によってはライターが少なくなるため、上記のメリットは小さくなる
④コミュニケーションコスト 〇:ライターと直接やり取りできる
△:ライター・記事の数が増える度に負担が大きくなる
△:ライター個々の対応が必要
△:ライターと直接やり取りできない場合は多い
〇:ライターや記事の数が増えても基本的に負担は同じ
〇:個々のライターの対応は不要。窓口は担当者のみ
⑤将来性・発展性 △:SEO記事と取材記事を同じライターに頼めるケースは少ない 〇:法人・会社、業者によっては多様な媒体、多様なコンテンツ制作が可能

代表的なメリット・デメリットは以上です。以下ではその理由と詳細を確認してみましょう。

メディア運営・コンテンツ制作における「外注」とは

オウンドメディアにおける「外注」について認識を共有しましょう。まず、外注とは一般的に「個人・法人を問わず、外部業者などに仕事を発注する」ということです。ほぼ同じ意味として、いわゆる委任・準委任契約の総称である「業務委託」という言葉も使われることも多いです。

特にテキストコンテンツにおける外注については、主に制作工程の「上流のみ」、「下流のみ」、「一貫制作」の大きく3つに分けられると弊社では考えております。
一般的なコンテンツ制作の流れを以下で確認してみましょう。

■もっとグッドが考えるコンテンツ制作の9工程

  1. 設計
  2. リサーチ
  3. チーム編成
  4. 企画制作
  5. 取材先選定・アポ取り
  6. 取材
  7. 原稿制作
  8. 校正・監修
  9. 入稿

上記はマスメディアもしくはリッチコンテンツを作成しているオウンドメディアの工程なので、SEOコンテンツのみ制作しているメディアではもっぱら、取材先選定・アポ取りを除いた全7工程になることが多いです。

■一般的なSEOコンテンツにおける制作工程

  1. 設計
  2. リサーチ
  3. チーム編成
  4. 企画制作
  5. 原稿制作
  6. 校正・監修
  7. 入稿

以上の外注の工程を「上流のみ」、「下流のみ」、「一貫制作」に分類してみましょう。

■上流のみ

1.設計、2.リサーチ、4.企画制作

■下流のみ
(4.企画制作)5.原稿制作、6.校正(監修)

■一貫制作
1~7の全工程

上記の分類はあくまで年間1000本程度、これまで1万本近いコンテンツ制作に携わってきた弊社と筆者である代表の藤冨の経験則になります。ただ、予算や制作期間、社内リソースを考慮しつつ「工程」から外注の体制を組み立ててみると、依頼すべき外注先も分かりやすく改善も図りやすいのでおすすめです。

メディアのコンテンツ制作の主な外注先と費用感

SEOや取材コンテンツなどを含む一般的なメディアの制作工程別に外注先と費用感について解説します。

コンテンツ制作の「上流のみ」外注する

メディアの基本設計とSEOのKW選定などのリサーチ、さらにタイトル、見出し、小見出しレベルの企画制作まで外注するのが「上流のみ」の依頼の仕方です。場合によっては「企画制作」を行わないケースもあるので、絶対ではありませんが、基本的に原稿制作は別のライター、もしくは内製するのが一般的と考えてください。

上記の場合、外注先は主に「業者・法人」であることが多く、基本的に「SEOコンサルティング」、「SEOマーケティング」、「Webコンサルティング」、「Webマーケティング」といった名称でサービスを提供することが多いです。
個人の感想ですが主にSEO関連のKWを提示し、それを元にクライアントがコンテンツ制作・公開。その結果をコンサルティング・マーケティング会社が分析して、さらにKWを提示するといったプロセスに「コンテンツ制作側の外注先」として参画した経験があります。
また、クラウドソーシングでは上記のみに対応できる人材のプロフィールを確認したこともありますが、弊社では現場で一緒に仕事をしたことはまだありません。
そのため、どちらかというと外注先としては業者・団体の方が一般的だと考えています。

コンテンツ制作の「下流」のみ外注する

主に原稿制作、校正(監修)の工程を依頼するのが、コンテンツ制作における「下流のみ」の外注となります。
これまでの経験を振り返ると、「ライターと直接契約しているメディア運営者」のほとんどは下流のみのケースが多い一方、記事制作代行やコンテンツ制作会社を活用している企業もかなり多い印象です。
どちらが一般的とは判断しがたいものの、外注の依頼方法は異なる傾向があります。

ライターと直接契約してコンテンツを制作する場合

メディア運営者の視点では、主に企画制作まで内製もしくはコンサルティング・マーケティング会社で制作しているケースが多いです。
メディアの状況的や種類的には以下のような特徴があります。

  1. ある程度メディア運営のノウハウが蓄積しており、流入数も一定以上確保しているオウンドメディア
  2. Webマーケティングやメディア運営などの専属部署が設けられている企業
  3. マスメディア、アフィリエイトを含むペイドメディア全般

メディア運営の内部リソースが充実していてノウハウや知見があり、メディアが収益化しているなど「事業」としての側面が強い企業は、ライターを直接抱えることで、より費用対効果の高いコンテンツの制作を図っている傾向が強いといえるでしょう。
そのような意味合いとしては、現在は企業や業者に依頼しているメディアであっても「いずれはライターとの直接契約によるコンテンツ制作体制の構築」を目指すケースは少なくのではないでしょうか。
後述しますがライターと直接契約するには、業者・法人に依頼する際よりも「労力」や「工数」がかかるのが一般的です。そのような課題にチャレンジできる社内体制と会社の方針、様々な意味での「余裕」や「余力」が必要といえるでしょう。

業者・法人と契約してコンテンツを制作する場合

上記の①企画制作まで内製もしくはコンサルティング・マーケティング会社で制作しているケースに加え、②企画制作から原稿制作、場合によっては監修、入稿まで依頼するケースがあります。弊社のお客様のうち、メディア運営者と契約しているケースではほぼ100%「企画制作~原稿制作(監修)」まで行っており、入稿までお任せいただいている案件も少なくありません。
メディアの規模や種類は様々ですが、オウンドメディア運営を開始して間もない企業の多くは、業者・法人によるコンテンツ制作を選んでいる傾向があります。

その理由としては社内のリソースやナレッジ・ノウハウの観点から、目標の制作本数やクオリティコントロールを達成するにあたって、ライターと直接契約するデメリットや注意点が、メリットを上回るケースが大きいからだと考えられます。また、コンテンツ制作に関わらず会社の方針で「個人とは契約しない」を明示している企業の場合、否が応でも業者や法人と契約しなければならないケースも多いです。これは集客面で成長したオウンドメディアでも同様で、いわゆるパートナー企業の委託業務に対する柔軟性やクオリティなどが十分であれば、そのまま契約を継続するメディア運営者も少なくありません。

一貫制作

コンテンツ制作に関わる工程のほぼすべて、もしくは基幹部分のほぼすべてを外注するケースもあります。この場合、ほとんどがライター・ディレクターといった個人ではなく、それらを内包した機能を有する企業体であることがほとんです。
また、法人であってもその主体となるサービスには差異があり、例えば「上流部分」を中心に担うコンサルティングやマーケティング会社が制作機能まで提供するケースがあります。さらに「下流部分」を中心に担っている企業が上流部分まで行うケースも珍しくありません。ちなみに弊社はどちらかというと後者に該当します。
いずれも企業ごとに特色がありますが、大まかに一長一短はあります。

例えば、Webマーケティング会社やSEOコンサルティング会社は後者と比べると、一本当たりの単価は高めに設定されていることが多いです。この要因としては、主にWebマーケティング会社やSEOコンサルティング会社から、さらにコンテンツ制作会社に依頼して原稿を作成するケースが多く、工程の足が伸びることが挙げられます。

一方、弊社のようにライターと直接契約している制作会社は同じ工程であっても、ディレクション費用などが安価なため、割安でスピード感や一体感を感じやすく制作できる可能性があります。ただし、効果検証や各種分析の精度はコンサルティング・マーケティングのプロの業者に及ばないうえ、そもそも「レポーティングはメディア運営者様で」という会社も少なくありません。コンテンツ制作本位かもしくはコンテンツ制作を含んだマーケティング全般での支援内容かを明瞭にしておく必要があるでしょう。

自社の現状、目標に合わせた制作体制を確立しましょう

SEO記事やコンテンツ制作を外注する際の選択肢とそのメリット・デメリットについて紹介しました。外注先はメディアの運営体制によって異なります。また、将来的には費用対効果を踏まえ、外注先を変えることも十分に考えられるでしょう。もっとグッドでは、月間200本以上、60名以上のライターが稼働しております。各メディアの課題、目標に合わせたご提案を制作体制レベルで提供しておりますので、ぜひ興味をお持ちの方はお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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