「良い企画を量産する」というのは、マスメディアからオウンドメディアまで幅広い媒体の運営・編集に携わる人であれば誰もが掲げる究極の目標ではないでしょうか。ただ、現実はそこまで甘くはないのも事実。真っ白なままの企画シート、迫る締め切り、何百回検索してもネタが浮かばない、なんとか企画を提出しても上がってきた原稿は「思っていたのと違う」……。
このループはメディアに関わる以上、ある程度は逃れられない宿命でもあります。ただ、メディア運営・編集ならまだしも、事業会社のオウンドメディアの担当者の方で本業と兼任されている場合であれば、なるべく「手を煩わせず」に企画を制作したいと思う方が大多数なはずです。
そこで今回、多様な媒体で年間1000本以上の企画を制作してきた株式会社もっとグッドの基本的な「ネタだし」と「企画制作」のポイントを紹介します。難しいテクニックはありませんし、きっと皆さんが既に行っている作業に少しだけエッセンスを加える程度だと思います。だからこそ、記事を読みながらぜひペンとメモを持って実際にネタだし・企画出しを実践してみましょう!
コンテンツ大量消費時代における「記事企画」との向き合い方
各種メディアのコンテンツ企画(記事企画)の作り方の前に、現代における記事やテキストコンテンツに対する作り手の捉え方を明確にする必要があるでしょう。弊社では以下のような業界において、SEO記事、Yahoo!ニュース掲載用記事、取材記事、事例記事、座談会記事、広告記事、イベントレポートはもちろん、LP(ランディングページ)、採用サイト、コーポレートサイトのテキスト制作などインターネットメディアにおける幅広いテキストコンテンツの制作に携わっています。
だからこそ気付けたことが、私たちが向き合わなければならないのは「コンテンツは大量消費されている」という現実です。もちろん、入念にリサーチ・熟考し長期間に渡って愛される最高品質のコンテンツの需要はなくなることはありません。事実、私たちも企画から携わらさせていただく例も多分にあります。ただ、そのような企画は数十、数百、数千本の企画を「原稿としてカタチにして発信した」うえで出来上がるものだと考えています。
大量生産であれば大量生産なりの作り方を組み立てましょう
大量消費されるのであれば大量に生産しなければならないのは当たり前。ただ、リソースは限られているうえに企画出し・ネタだしという上流工程は、原稿制作と比べると圧倒的に外注先の選定が難しい。だからこそ、そのしわ寄せが「煮詰まり」といったカタチで幅広い媒体で編集担当者を悩ませているのではないかと考えています。
また、これは所謂、記事で収益を上げているマスメディアやペイドメディアだけの話ではありません。オウンドメディアもSEOを考慮するのであれば継続性・更新性は必要不可欠ですし、ビッグワードや効果的なKWは常に狙われています。月に5本程度だとしても、年換算だと60本。基本的にメディアやコーポレートサイトを運営し続ける限り記事も更新し続ける必要があるので、5年だと300本も制作しなければなりません。これは十分に「大量生産」といえるのではないでしょうか。
コンテンツの大量消費・大量生産には賛否両論(どちらかというと否)があることを理解しつつ、それでもメディアやご自身の取り巻く環境に合わせて、より良いネタだし・企画づくりを最適化していく。手をかけた企画と同じくらい、効率的に作り上げた企画にも価値はあると自負することが大切なのだと、まずは腹落ちさせることが大切だと私たちは考えています。
メディア・オウンドメディアの企画制作の全体像
前置きが長くなりましたが、後半では大量の企画を制作するための手順とポイントを解説します。まずは全体の流れを確認してみましょう。
①事象→②キーワード→③切り口(テーマ)→④タイトル→⑤内容
こちらの流れで、もっとグッドではYahoo!ニュースに掲載している3メディアで、最大計100本近い企画〜原稿制作を1年以上、手掛けていました。もちろん、数十に及ぶオウンドメディアのSEOコンテンツなどでも流用できています。その経験も踏まえたコツを以下で解説します。
ステップ1:事前準備は「認識合わせ」と「ツール」
企画制作を効率的に行うためには、まず公開する記事の「ロイヤリティ」と「品質」について関係者で認識を共有してください。品質は高ければ高いほど良いのは間違いありませんが、現在のリソースや予算、制作本数とすり合わせる必要がありますし、結果的に「ほどほど」の記事を量産した方がスムーズに制作できて成果が見込めるケースは十分に考えられます。
そのためまずは高品質という言葉を因数分解して「具体性・専門性をどこまで盛り込むのか」、「PRタイムスなどのPressリリースは使ってもいいのか」などを明文化して関係者全員で共有しましょう。品質の項目を満たせ原稿を上げられるのであれば、工数などの「過程」を重視しがちな人にも、理解を得てもらいやすくなります。そのうえで以下のツールを準備してください。
■ツール 1.企画シート ・項目は「タイトル」、「キーワード」、「切り口」、「見出し」、「小見出し」のみ 2.検索順位ボリュームリサーチツール(無料でもOK) ・(無料)検索ボリュームリサーチツール:aramakijake.jp・(無料)サジェストリサーチツール:ラッコキーワード 3.大手ニュースサイトや新聞 4.自社メディアの媒体資料や運営方針を記した書類 |
企画シートの項目は非常に多種多様ですが、基本的に必要最低限にしましょう。また、なるべくファイルを分けずに情報をまとめるのも大切です。「ライターに伝わるのか」と不安になる方も多いですが、基本的にロイヤリティや品質のすり合わせができているライターであれば肉付けは問題なく行ってもらえます。その他のツールについては、実際のネタだし・企画だしの手順の中で紹介します。
ステップ2:大きな事象をピックアップ
事象とは「世の中のできごと」という意味ですが、今回のネタだし・企画作りにおいては以下の2つのように捉えてください。
■もっとグッドが考えるコンテンツづくりにおける事象 ①世界規模、社会全体に現在、もしくは近しい将来で注目を集めるできごと ②メディアやコンテンツのカテゴリにおける「不動・鉄板」のモノやコト |
大きな事象を自分のメディアやコンテンツのジャンル・カテゴリに「細分化や自分事化」したものが「タイトルになる」というイメージです。1つの事象に対して複数の切り口を設けることができれば、芋づる式な発想でネタを出せる可能性も少なくありません。
例えば、①の場合は2024年問題や2025年問題などはまさに今起こっている、もしくは今後間違いなく注目される可能性が高いです。ここで大切なのは「自分・自社・自業界には関係ない」とすぐに判断しないことと、SNSで消費されるような「超短期トレンドワード」は排除することです。①の場合は新聞紙やニュースサイトなどを確認してください。②は業界紙もしくは自社の営業資料、会社資料にもヒントが隠れています。
「間口は大きく」は企画・テーマづくりのための情報収集の大切なポイントです。とにかく①・②に当てはまると感じたものはどんどんメモに加えていきましょう。
ステップ3:掲載・公開媒体の「キーワード」で事象を掘り下げる
事象をピックアップしたら、テーマ(主題)をつくるための「自分事化」を始めましょう。具体的には、先述した「2025年問題」をどのように自分事化すれば媒体・読者・検索ユーザー(SEOの場合)に相応しい企画になるか考える作業となります。ここで役立つツールがサジェスト検索ツールです。SEOコンテンツ制作ではイロハの「イ」のツールですが、ここではあくまでネタだしとして活用します。ラッコキーワードのように無料でも使えるものがあるので、まずは事象を打ち込んでどのようなワードが検索されるか確認してみてください。
2025年問題の場合、「2025年問題×●●」といった形式で弊社のツールでは338個のキーワードが表示されます。そのキーワードに「カテゴリ・ジャンル・業界では鉄板のモノ・コト」を後ろに並べてみましょう。難しい場合は自社のサービス名や業界を並べるだけでも問題ありません。
■例: 事象①:2025年問題 事象②:インターネット上での情報発信 キーワード:2025年問題 空き家 2025年問題 空き家 インターネット上での情報発信 |
メモでも構わないので、上記のようにご自身の環境に合わせて一度書き出してみましょう。意外と頭の中でテーマの切り口が見えてくる人は少なくないのではないでしょうか。
ステップ4:言葉を組み合わせて「テーマ(主題)」と切り口を決める
「2025年問題 空き家 インターネット上での情報発信」というキーワードを並べると、複数の切り口が見えてきます。社会性が高い媒体であれば「2025年問題における空き家問題をめぐる課題とインターネット上での情報発信の取り組み事例」、不動産業界の媒体であれば「2025年問題でひっ迫する空き家の管理。マッチングサイトの利用状況や課題は?」といった切り口に変更することもできるでしょう。SEOを狙うのであれば、「2025年問題 不動産(検索ボリューム:320)」や「2025年問題 今できること(検索ボリューム:720)」に空き家管理の前により広義でボリュームのあるKWを設置したうえで「2025年問題と不動産業界。空き家対策などの●課題と今できることとは?」のように切り口を微修正することも可能です。
さらに「インターネット上での情報発信」をSEOやモール、官公庁の取り組みに細分化してキーワードを増やせば効率良く企画はもちろん、同じライターをアサインすれば類似カテゴリの記事制作のノウハウが積み重なるので効率や品質向上も図りやすくなります。このような「連鎖的な発想」を生み出すためのプロセスとなります。文字だけだとなかなか理解が難しいかもしれませんが、ぜひ実践してみてください。少なくともPCの前でブラウザや資料と睨めっこするよりもアイデアは浮かびやすくなります。
しっかりと「書けるライター」をアサインしましょう
企画を制作した後は、ライターに原稿制作を発注して仕上げてもらうだけです。企画の意図や上記の流れを理解しているライターであれば、意図と大きく異なる原稿が上がってくるリスクは小さいでしょう。ある程度の専門性は必要ですが、それよりも肉付けの仕方、ソースの提示の仕方などを理解しているライターをなるべく固定して制作するのが理想です。
ただ、直接契約だと異なる事象・テーマに対応するライターを確保する労力が大きいうえ、都度、キチンと理解してもらうためのコミュニケーションコストも大きくなりがちです。もっとグッドでは上記の理解をしていることはもちろん、企画づくりまで可能なので環境に合わせた最適なご提案をさせていただきます。
今回、ご紹介した流れの詳細情報および各業界、サービス、目的に合わせた企画のサンプルや各ご相談様に合わせたテーマ例の作成なども、ご相談ごとに受け付けています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。